決断

今月末、4月で7年やってきた千葉店を閉めることにしました。

コロナが落ち着き、世間はこれからという時に

この沢山の方の思い出の詰まった場所を手放す事は、自分にとってもスタッフにとっても苦渋の決断でしたが、コロナの3年間を多くの店が閉店に追い込まれた中、なんとか乗り越えられただけでもよかったです。ポストコロナとしてまだまだ飲食店には厳しい現実の状況ではありますが、

常に挑戦していく気持ちを持ち続けていたいと思います。

人生は期間限定という言葉を、尊敬する方から頂きました。

一生懸命やってる人には助け舟が必ず来ます。とも

 

好きな事をやり続ける事の楽しさと反対にあるものをどう向き合っていくのかさえ楽しまなければいけない道を選んだのも自分自身です。

この決断の代償は、大きく可能な限り挑戦する事です。

自分が料理を通して伝えたい事

 

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あと何日生きられるか、あと何回子供を抱きしめられるか、あと何回料理を作って喜んで頂けるか、

あと何回、、、

いつまでかはわからないけど

きっと

考えてみると数えられる数でしかないと思う。

もしかすると、今日が最後かもしれない。

あと何回かはわからないけど、だからこそ

今という時間を今一緒にいる人と大切に

出来るだけ

丁寧な時間の過ごし方をしたいと思う。

愚痴も言いたい時もあるけど、飲み込んで

上手くいかない時も、前を向いて

新しい試練も、成長するチャンスだと思って

全てポジティブに変えて

丁寧に大切に味付けも、盛り付けも

植物は太陽の方を向くように

盛り付けた花一輪一輪が、

お客様の顔に向かって咲くように。

その為には、大切にされて来た食材でなければ

このストーリーは成り立たないんです。

 

環境問題で魚は減り続けています。

環境に対しても出来る事を考えなければいけません。

日々は当たり前ではなく、ありがたいものであり

資源は先祖から譲り受けたものではなく

子孫からの借り物だと思って

大切にしていくべきだと思います。

だから、頂きますとご馳走様でした は、

子供の時に教わる事なんですよね。

人が何かを作ると必ずその人の人間性が表現されます。

だから、自分の料理は食欲を満たす為のものである事は前提に、自分自身の表現なんです。

 

もちろん、食欲を満たす為だけのものであって欲しい場合もあるでしょうから、その場合にはそういう料理を作っています。パスタやピザや賄いのように、美味しいだけを考えて。

自分の表現を見て味わって頂ける幸せは、自分にとって

最大限の料理を考えるモチベーションの糧になります。

本当に本当にいつもありがとうございます。

 

 

人生の選択

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出来たら良いなぁと話していた10年前の記憶

まだ自分の店の物件探しをしていた頃、

ここの住人の方に、このラウンジでここでやってくださいよ!なんて冗談で言って頂き、こんなところを出来たら最高ですよね!なんて

 

まさか10年後に実現する事になるとは思ってもみませんでした。

ここまで来られたのは、今まで沢山の方々に支えられて温かくお付き合い下さったおかげだからだと思っています。

そのおかげで、最初はビニールシートの入り口の小さなワイン酒場から3年で約4倍の店舗にレストランとして移転しその5年後今回またさらに4倍の

面積のお店を任される事となり

想像しなかった世界が巡って来てくれました。

 

今まで沢山苦しい思いも辛い思いもしてきましたが、やはりコロナが最大級の波で、本気でもうダメだと。余命宣告をされた気分で、やり残した事はないか?と考えるようになり、一日を大切に考えるようになりました。

人生の選択は日々の中にあって小さな事を

どう選択するのかがとても重要でその積み重ねが

その人の人生になっていくんだと思ったのです。

 

だから、自分に出来る精一杯を選択する事は、自分の人生を精一杯生きた事になれるんじゃないかと。

先日、人に喜んでもらえる事は、素晴らしい事だと教わりました。自分の仕事自体がそうなのですが、でも家庭でも可能な限りその考え方でいようと、その方ご夫婦を見てると素直に感じさせられました。

 

新しい場所での挑戦も、初心を忘れずに

今までの支えて下さった方達への感謝も忘れずに

精一杯の選択を、皆さんに喜んでもらえるようにだけに

選んでいきたいと思っています。

大切にしたい事

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好きという気持ちから生まれ続ける好奇心

好奇心から生まれる探究心

好きに囲まれている事によって、生まれる感謝の気持ち

謙虚な気持ちから生まれる向上心

継続から積み上げられる経験

 

料理人として常に進化し続ける為には

この5つの事を肝に

 

全ての歯車を、きちんと回すには

やっぱりほんの少しの余裕が必要

 

 

生き物を飼う

植物を育てる

毎日の中で、そういう事を大切にする事

とても大事なようで

不思議と出来てる時は

全ての歯車が整う

 

関係がないようで、日々の自分の余裕の無さが

とてもわかりやすい

毎日状態を気にかける事が出来てるかどうか

仕事の仲間も家族にも

少しの変化に気付けるように

家族と仲間を大切にする事で

歯車の精度や質が上がる

大切に想うことで

必ず良い方向に進んでいく

 

間違いない

自分の環境はその人達で出来ているから

 

 

もっともっと感謝して

謙虚に努力し続けたい

好きという気持ちを大切に

笑顔の連鎖の続き

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笑顔の連鎖の続きがありました。

ついこの前、またとても嬉しかった事です。

 

今年の春、卒業した児童養護施設の子がお店のディナーを予約してくれました。

高校を卒業して約半年お金を貯めて、お世話になった寮母さんご夫妻と仲良しの友達の誕生日を

お願いしたいですと連絡があり、しかもエストワイでお出ししているコースの中では最高の1人12,000円のコースを4人分

また会えた事だけでも嬉しかったのですが、

ちゃんとお礼をしなきゃと思ってこれしかないと心に決めていたそうです。

本当に本当に

ありがとうと思いました。

沢山辛い事を経験したはずなのに、

選んだ行動がこんなお礼だなんて

本当に素敵な素晴らしい子です。

また良い経験をさせていただきました。

 

 

繋げていきたい仕事の信用と信頼

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先日豊洲市場で、とても衝撃を受けた事がありました。

 

 

市場の数ある魚屋さんの中でも、飛び抜けて綺麗で健康的な魚を売っていて 清潔感もあり、一目で惚れてしまった魚屋さんがありました。

そして豊洲市場に通うこと、約半年が過ぎた頃

魚が入荷しているかどうかを教えて頂ける関係になれました。

この写真の明石の真鯛を頂いた時のことです。

その日、朝6時に電話を頂きその足ですぐに車を走らせ豊洲に向かいました。

そして着くと

「今日良いのは明石の真鯛ですかね〜」と

「では、それをお願いします。」

そう言っていつも通り絞めて神経抜きをお願いすると、裏の水槽から

「こっちの方が良いと思うんで」

と言って、取っておいてくれた鯛を絞めたのですが

「あれ、思ったより脂乗ってないな」と言って

次のを絞めてこっちでと渡してくださったのです。

 

豊洲の問屋さんが付けていた値段は1万円/kgです。

3kgほどの魚だったので相当な値段の魚なのに

あっさりとこれじゃダメだといって次の魚を絞めたのです。

良いと思って活かして取っておいてくれた事があった上に、それでも自分の納得いかない魚は渡せない。とすぐに別の鯛を絞める。一切迷わずの間髪入れずの仕事のプライドと誠意にとても感動しました。

 

漁師さんへの敬意とお客様(自分)への誠意

 

 

 

その仲卸業者の魚屋さんに、敬意と尊敬を強く思い

自分のお客様へもこのバトンを誠実に確実に

繋げていきたいと思わせて頂きました。

 

ピンチはチャンス

よく聞く言葉です。

しかしよく理解できていませんでした。

実際にそれはどういう事なのか?

でもこの一年、コロナ禍でピンチを経験させて頂きました。つまり、同時に一年もの間チャンスを頂いていたという事になります。

人は窮地に追い込まれると、自分の本当の気持ち

心の中にある真の部分が見えてくるそうです。

たしかに、独立して何度あったピンチかわかりませんが間違いなくコロナは最大の経営存続のピンチでした。今も変わりませんが。

ただ、本当にやりたかった事 自分の心の中の真が見えた気がするんです。

当時はこう思いました。

 

どうせお客さんが来れないなら好きな事をしようと。

 

自分の店なんだから好きな事やってるのでは?と、思われるかもしれませんが、そんな事はなく、やりたい事はもっともっと未来にあって、本当に良い物を扱い 料理で自分の考えや生き方を表現していきたいと。そう思っていました。

 

しかしその前にどうしてもずっとやりたかった事

それは、親御さんのいない子達へのボランティアです。クリスマスディナーをプレゼントしたいと思い

千葉市児童養護施設に連絡をとり子供達を招待させて頂きました。もちろん子供達は大喜びしてくれたのですが、1番驚いたのは、自分自身が幸せにさせてもらった事でした。子供達が本当に喜んでくれた顔と食事が終わってからのお礼の言葉を聞いてる時は、涙を堪えきれませんでした。

してあげたいだなんて思っていたのに、終わってみたら自分の方が大切なことを気づかせてもらえた事に、とても幸せをかんじました。

 

それと やはりお皿や食材といったものを探し始め、インスタグラムで佐渡の作家さんの器に惚れ

連絡を取らせていただくようになり、お家までお邪魔させて頂き料理をさせていただきました。

そしてまたもや、感動していただけた事に自分が感動し感謝の気持ちで満たされ幸せを感じさせて頂きました。

それから、豊洲市場に通うようになり中でも1番清潔感があって実直で魚を大事にされてる事が物凄く表れている魚屋さんと出会いました。

魚の状態も明らかに群を抜いていて、最初は、どう思われていたかはわかりませんが通う事半年くらい経った先日、とても嬉しいお言葉をいただきました。

もちろんその魚屋さんも、良い魚がない時もあれば買い付けられた時もあるのですが、

 

今日、良い魚あったから社長さんが来ないかな?って思ってたんですよ!

 

と。

正直言って、仕入れの時に自分の事を思い出してもらえるなんて衝撃でした。

自分が豊洲市場で1番の魚屋さんだと思っている方にそんなふうに思っていただけるなんてと

 

もうこれだけの事がコロナ禍で自分に起きた事なら、経営の問題は別として幸せすぎます。

 

自分の心の声と向き合う事ができたのは

間違いなく自分がピンチだからです。

 

だから、ピンチはチャンス

沢山の素敵な出会いに恵まれた一年でした。

そして、そうやって仕入れた魚

今回はホシカレイと明石の真鯛

これも、そんなエピソードと一緒に

皆さんに味わって頂きたいと思っています。