贅沢

贅沢とはなんでしょう?

悪いことなのでしょうか?

辞書によるとこのように書かれています。

 

1 必要な程度をこえて、物事に金銭や物などを使うこと。金銭や物などを惜しまないこと。また、そのさま。「贅沢を尽くす」「贅沢な暮らし」「布地を贅沢に使った服」「たまには贅沢したい」
2 限度や、ふさわしい程度をこえること。また、そのさま。「贅沢を言えばきりがない」「贅沢な望み」

 

必要な程度を超えて

限度や ふさわしい程度を超えること

とあります。

しかし

人は、経済的・物理的充足だけでは幸せを感じることはできず、周りの人々の幸せがあってこそ自分も幸福だと感じる生き物だそうです。だから人々はお互い助け合わずにはいられないのではないでしょうか。 

自分の仕事は、贅沢を求めてはいません。

贅沢な物ではありません。

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先日のクエの料理も頭の周りの肉を全て丁寧にほぐし、ウロコはスジ引きですいて揚げて食べられるように一品としました。

何一つ捨てることなく、可能な限り食材に対して敬意を持ち、会話をしながら創っています。

ただ、美味しいと思って頂きたく、美しいと思って頂きたく食材を昇華させてあげたく、陶芸家さんの器の力を借りながら表現させて頂いております。

そんな事を食べて下さったお客様が共感して頂けたらなによりも幸せです。

 

ですから、自分は贅沢には興味がありません。

あまり良いことにも思えないからです。

循環 オラファーエリアソン展より

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先日、東京都現代美術館にてオラファーエリアソン展 時に川は橋となる に行ってきました。

 

現代美術においてこんなに直接的なメッセージを感じたのは初めてで、自分の料理哲学と重なるところがありとても感動しました。

 

人は植物を食べます。植物は太陽の光を吸収して育ちます。全てのエネルギーの根源は太陽であり

、人もまたそれに依存しなければ生きていけないこと。そしてその植物には様々な美しい姿があることをインスタレーションとして表現されていました。

 

フィボナッチ数列や人が感じられる色の美しさの理由など

 

もっと自然環境の中の一部なのだから、継続できるように自然に対して目を向けよう!というメッセージに共感し、とても大きな感動を頂きました。

そして、オラファーさんが一番大事にしているというのがアトリエでのランチの食事だそうで 

食事をするという行為は人の循環の根源であり

エネルギーを得る唯一の行為

その時間に良い食事をとり様々なアーティストや技術者が交じり会話を交わすと様々なアイディアが生まれたり、仕事のミーティングの場になったりと、実に有意義な時間にもなるとおっしゃっていました。

自分の考えとやっている事が間違ってはいなかったんだと思えた事、

自分が釣りに行って感じることや

農家さん 他生産者の方々への思い

やはり自然を大事に大切に寄り添う気持ちを忘れてはいけないと思うのです。

 

自分は料理人として、人気者になりたいわけではありません。自分の想いを料理という形でお客様に

コースの中に込めた一皿ずつのメッセージとして表現し続けていきたいと思っています。

 

変わらない物

世の中には数え切れないほどの料理がありますが、どの料理もその時代の料理人によって少しずつ変化をして進化してきました。

例えば、江戸前寿司

江戸の時代には、おにぎり程の大きさだったと言われています。

フランス料理もまた貴族達が手で食べていたことも

ナイフやフォークを使うのはロシアから伝わったと言われています。

人は常に変化や新しいものに興味を持たれるものですが、料理となると何故かそうでない人が多い気がします。特にラーメン屋さんなどは、同じ味を求められる事が多いというか、まさにあの味を食べたいと思って行かれる方がほとんどです。

一つのあるラーメン屋さんが、毎日違う味だったとしたらどうでしょうか?

流行りと共にラーメン屋さんの数は変化していきますが、それを経てラーメンの歴史が築かれていくのだと思います。

しかし、レストランは一個人の料理人によって歴史が作れるのです。続けられてさえいれば、自分の料理を変化させて進化して行く事が出来るのです。

同じ味を作らなければいけない縛りを解放し、

自分の今までの経験や閃き、自由な発想を表現する事が出来るのです。

 

日本には、他の国には少ない優れた陶芸作家さんが沢山います。なぜ、そんな素晴らしい器を使わずにいられるのか不思議で仕方ありません。

そして、ただデタラメな思いつきを形にするのではなく、1番大切にしている事は感謝の意を表現の中に常に入れる事です。食材には生命があります。

それを頂くわけですから大切に扱い、最高の状態になった時に調理してお客様に喜んで頂く事。

そのために自分達で釣り、大切に持ち帰るということから始まります。釣れすぎた場合には持ち帰らず逃してくることももちろんあります。自然の中で生かせてもらう最低限のルールだと思いますので。

そして、その料理の中に込められたものは同じように魂の入った一つ一つの器と共鳴し、お互いを昇華させる事が出来るのだと思うのです。

 

これが、自分の中で常に新しい料理を創作しながら創造し作り上げて行く中での変わらない物です。

 

次はこの今まで見たことない素晴らしい器に合う料理を考え中です。

 

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見た目ですでに奥行きが半端なく、見た目だけの料理では釣り合わないので、きちんと見合えるような奥行きも釣り合うような一皿に仕上げたいと思います。

料理を創作するということ

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料理は芸術の域にあるものならば、毎回求められたものを作る職人技ではなく、感性の入ったきちんとしたルールの上でしか成り立ちません。

見た目に美しくとも、食べ物として美味しいと昇華させなければ、それは失敗作品です。

材料の特徴を理解する事。

これが先ず根底に無ければ、料理とは呼ぶことすら成立しなくなります。

ホヤを初めて美味しいと感じたのは妻のお土産で買ってきた蒸ほやに七味とマヨネーズというものでした。そこから、実際に嫌がられる部分を削ぎ落とし、どの部分が美味しく感じる部分なのかを理解して、引き立てるために何が必要かを考え材料を合わせます。

今回は、バジルとサフランマヨネーズです。例えるなら、七味マヨネーズが地元ならば、サフランマヨネーズとバジルはスペインあたりでしょうか?

 

創作する料理にはイタリアンだとかフレンチだとかというカテゴリーに縛られる事なく、自由に発想し食材を芸術の域にまで昇華させてあげる事が1番だと思うのです。

 

あとは食べてくださる方が、色々と感じ取って頂ければ、それは成り立つのではないでしょうか。

 

 

見た目と味の共通点

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これはセロリのサラダです。

1番の主役が見えなくなっていますが隠しているわけではなく、見えにくくなっているのです。

見た目に目立つのは、キュウリ ラディッシュでしょうか。

実際は、そのほかにミント さくらんぼ ルバーブです。味付けはレモン汁とオリーブオイルと塩のみ

です。

本題の共通点が何かというと

 

白いお皿に白いセロリが置かれて同調います。

お皿の存在意識がセロリの存在を見えなくさせています。

味の方はというと セロリより青っぽい香りキュウリ ルバーブ、ミントがセロリの青っぽさを見えなくします。

青さの香りではミントが1番強いので、ミントが目立つ味になります。

そしてレモン汁とルバーブの酸味

さくらんぼの青と酸味はこの2つの要素で甘さしか感じなくなります。

全てスライスしてありますが、微妙に違う食感のコントラストと全ての材料が補い合い、それぞれが存在意義のあるサラダになりました。

セロリはというと、青っぽさは他の仲間にカバーされ目立ちません。そのかわり、食べてみると1番存在感がありセロリってこんな味だったっけ?って思うようなそんな良いチームのようなお皿です。

食材の組み合わせとそれぞれの量のバランスが、きちんとハマったサラダになりました。

冥利につきる

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緊急事態宣言が解除されて少しずつですが

お客様をお迎えする事が出来る様になり、久しぶりにメニューを考え準備する事に

凄く幸せを感じています。

やりたいけど、出来なかった期間の反動が

今まで以上の物を作りたいという気持ちが

エネルギーになり、お客様へ伝わって行く

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こんなに料理が楽しいのはいつ振りだろう

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6月からも、またお会いできる日を楽しみに

 

 

 

コロナウィルスの影響を受けて

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コロナウィルスの影響を受けて、非常事態宣言が出されました。

このことは、多くの皆さまにとっても厳しい状況かと思います。

世界中が不安になる世の中、少しでも自分達に出来る事はないか

家から出られない、毎日の食事を用意しなければならない、少しでも外食気分を味わってもらえたら、少しでも家族皆さんが笑顔になれたらと思い、パスタを家で美味しく出来るよう

発送でお届けできないかと考えました。パスタソース メイン料理 前菜など少ない数ですが御用意させて頂きました。

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メニューはこちらです。

 

苦しい状況を乗り越えた先にこそ、会社も、世の中も新しい事が生まれ成長していくものだと思います。

1日も早く明るい笑顔が皆様のもとに戻りますように、願っております。