料理の見え隠れ

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今回は、料理を作る時に材料の合わせ方についてです。

見た目にという事ではなく、味の部分でのお話です。

 

ほとんどの料理が複数の材料を組み合わせるかと思いますが、それぞれにきちんとした役割があるものだと思います。つまり、役割の無いものが入っているということは不必要なものということになります。

役割については沢山ありすぎるので、今回は、組み合わせた味の見え隠れについてお話したいと思います。

子供のころ、こたつで甘いみかんを食べた後チョコレートを食べて、もう一度みかんを食べたらビックリするほど酸っぱく感じた経験はありませんか。

これこそが、見え隠れなのですが、人間の味覚は口の中がリセットされない限り、同じ系統の味は強い方しか感じられなくなります。つまり、最初はみかんの甘さを感じたはずなのに、チョコレートのより強い甘味を感じたために、みかんの甘さは感じられなくなったのです。

この食べ方は、失敗例なのですが、これを応用します。

例えば、わかりやすいものでいうとバジルとトマトはよく組み合わせられますが、

これは、トマトの青臭さをバジルの青いいい香りが上回るので、トマトの青臭さがわからなくなります。

トマトと唐辛子は、トマトのピリっとくる鋭い酸味のような部分を上回ることでトマトの辛さは感じなくなります。

これは、ナスにも似たようなピリっとした辛味がありますが、焼きナスに生姜だったり

麻婆ナスに唐辛子だったりで、ナスの辛い部分以外が目立つようになります。

普段の食事の中にもそんな意味で材料が組み合わされているものです。

 

是非試して頂きたいものがあります。

 

トマトのスライスに片方は、何もせず、片方には耳かき半分くらいの練りわさびと1滴のレモン汁をかけて食べ比べてみると、今回の見え隠れの事が良く感じられると思います。

わさびはトマトの青臭さと辛味を上回り、レモンはトマトの酸味を上回ります。

大事なのは、レモンとわさびを感じないくらいの少量である事です。

感じてしまっては、本末転倒です。トマトの刺々しい味の部分だけが感じなくなると思います。

目立たせて見せなくする方法と目立たないように主材料の良いところだけを目立たせる方法とがありますので、バジルとトマトなんかは大いにバジルが目立って良いと思います。

トマトだけの良いところを感じるためには、バジルでは強すぎるんです。

是非是非たのしんでみて下さい!

 

ちなみに、写真はブラッドオレンジを合わせたカプレーゼでした。

ブラッドオレンジもシャープな酸味を持っていて、フルーツトマトとのせめぎ合いのような味だったので、オリーブオイルで仲良くなってもらいました。

酸味と甘みがお互いに消しあい立て合いといった感じで面白く両方が良く感じました。

良いライバルのような関係だった感じですね!

そして、そのライバルを主人公にしたかったので、バジルではなく、ミントを使いました。