思い通りでなければいけないのに

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これは8月のデザートです。

メレンゲを2種とジャンドゥーヤのアイス

フレッシュのパッションフルーツ

ヘーゼルナッツのヌガー

これらで構成したこのデザートですが、

予想していたよりもはるかに軽く

食感、香り、味、全てのバランスが自分のイメージを超えて出来上がってしまった1皿になってしまいました。

本来なら、料理は出来上がった瞬間しか完成という形はない、時間が経ったりして変化してしまう、

特にレストランの料理はいろいろなパーツを作って組み合わせるので思い通りでなければならないのですが、試作の段階でこの体験が出来て、まだまだ自分は経験が足りないと思い知らされました。

もっともっと鮮明なイメージを想像して創造できるように

 

表現出来るという事は、最高の事だと 有名なフォトグラファーの方のお言葉にありました。

これからももっともっと完成度を上げて、記憶に残る1皿を創っていきたいと思います。

良い意味での違和感

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今回は、蜂蜜を活かすメニューを考えて見ました。

フランスの野生のラベンダーから集めた貴重な蜂蜜です。

 

ヤギのフレッシュチーズとフロマージュブラン 生クリーム

桃のコンポート生ハム オリーブオイル 少しのフルールドセル

 

一番メインで蜂蜜に合わせたかったものはヤギのフレッシュチーズです。それを繋げる為に他の材料が存在しています。見た目ためでは桃がメインに見えるかもしれませんが、メインは

蜂蜜です。

 

塩気と甘味のバランスが前菜になるか、デザートになるかのギリギリのラインどりです。

そして、ほんのりとクリームチーズではない違和感をヤギのフレッシュチーズで表現しました。

これがクリームチーズだとデザートに寄ってしまったと思います。

良い意味での違和感

デザートではないという事を感じられるということが

甘味である蜂蜜を立たせ、前菜としての構成に出来たと思います。

気付かなかったシンプルな組み合わせ 蒸しホヤとジェノベーゼパスタ

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今回はホヤとジェノベーゼを合わせてみました。

ホヤが苦手な方は多いと思いますが、以前、奥さんから蒸しホヤを仙台のお土産で買って来てもらった時にとても美味しく感じたのでホヤをどうにか創作出来ないかと思っていたところでした。

 

蒸しホヤはマヨネーズと七味で食べたので、似た感じだと、ブイヤベースについてくるアイヨリソースがすぐ浮かびましたが、なかなかその先が浮かばず、、

調べてみると以外とあったのがこのジェノベーゼでした。

 

ふと、バジルを大葉と考えれば相性が良いのは当たり前すぎる組み合わせでした。

もちろん食べてみてもとても良い出来に。

なんだか回り道をした気分でしたが、頭の中をシンプルにしておく事に気付かされた料理になりました。

絵を描く理由

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今回は、なぜ自分が絵を描き始めたかという事ですが、

料理をしていて自分の思い通りのものが作れていると思っていたのですが、そこに疑問を持った事が一番の理由でした。

はたして、本当に理想どおりのものが出来ているのか?

つまり、アウトプットです。

試しに、料理の完成図を絵を描いて見たところ細かく描けませんでした。

という事は、頭の中で出来上がっていたイメージはそれまでのレベルの完成図だったということです。

それぞれのパーツの大きさや色の加減、どんなトーンの合わせ方か、味も香りも色も

一皿の中にある全ての要素をできる限り鮮明に頭の中で作り上げる必要がありました。

そして、目で見たイラストを鉛筆で描いてみると、となりに置いてあるイラストが一度自分の目から脳に伝わり、指先に同じように描けと指示を出しても描けないのです。

これが、出来ない事には自分のイメージがいくら細分化出来たとしても形にする時には、ずれてしまっているという事なります。

そのアウトプットのトレーニングとして始めたのがチョコレートで絵を描き始めた一番の理由でした。

それから、そのきっかけになった出会いが美術家の市川考典イチカワコウスケさんでした。

市川さんの線香画の作品を見たときもの凄く衝撃的で帰って来てから沢山の人に話しました。

市川さんの技術とアーティストとしての表現力、感性、全てに憧れています。

いつか料理で何かをアートで表現するという事を完成させたいと思います。

料理は空腹を満たすためだけのものでは無いという事を証明出来たらと。

 

 

料理を理解すること

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今回は、食材の組み合わせの中を別の料理から考えました。

夏といえば、鱧、ゴーヤ、この二つの食材をメインに解説していきたいと思います。

もちろんこの組み合わせは一度も作った事考えた事はありませんでしたので

どのように合わせて行くかという時に、まず、鱧はどの様に火を入れるか

湯引きか、フリットの2択ではあったのですが、ゴーヤの食感を考えると

食感は何種類かあった方がいいと思い、フリットを選択し

ゴーヤは塩で揉んでからビネガーにつけます。

その後梅を刻んだものと、パンチェッタを炒めたもの、ディルを合わせてオリーブオイルで合わせておきます。

これで、ゴーヤの方はバランス良く鱧に合う味になりましたが、強すぎるので、赤玉ねぎのスライスを水にさらしたものとゆで卵を刻んだものを更に合わせます。

これで、ゴーヤと鱧の調和がとれました。

 

ここで、代表的な料理の鱧の湯引きに合わせる梅肉とゴーヤチャンプル、それから山菜のフリット

この3つの料理の中から抜粋した部分を切り離し出来上がったわけですが、

鱧と梅肉は食べた事がある方なら相性は想像がつくかと思います。

それからゴーヤをフリットにしたわけでは無いのですが、苦いものと揚げた衣は山菜のフリットの様に苦さが優しく感じる様になる事もあり、鱧をフリットに選んだ理由でもあります。

そして、ゴーヤの強すぎる味のバランスを取る為にゴーヤチャンプルのゴーヤに豚肉の相性をパンチェッタで、柔らかく感じさせる為には豆腐や卵の様な味をぼかしてくれるものをゆで卵で、

玉ねぎとミニトマトは、今回は前菜としての料理だったので水分を感じさせる為に切っただけのものを

合わせました。

 

色々な料理の中から、良い部分の抜粋をする事で今回の料理が出来上がりました。

 

日常の中の料理を理解して、何がどうして美味しいのかという事を分かると上手な料理を作る事が出来るようになると思います。

そうすると、バランスを意識できるので量の合わせ具合やレシピには書いて無い部分に気づける様になるわけです。

 

 

引き立たせるもの

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今回は、娘にリクエストされた誕生日ケーキを作りました。

チョコレートのケーキでイチゴを使って欲しいとの希望だったのですが、季節的にイチゴは終わってしまっているので、フランボワーズを代替案にさせて頂きました。

 

ここで、どんなケーキが食べたいのかを想像してその期待を越えたいと思い考えたのがこのケーキでした。娘はチョコレートムースが好きなので、ムースを中心とした構成でフランボワーズをちょうどよく合わせるには、フォレノワールのチョコレートのスポンジの様なしっとりしていて柔らかく柔らか過ぎずが全体のバランスが取れるだろうと予想し、上下に置いた事も全体のバランスを考えて、厚さもバランスを意識してカットしました。

そしてフレッシュのフランボワーズの存在が薄くならない様にフランボワーズのジャムを作りスポンジに乗せてあります。

そして、チョコレートのムースに飽きない様、シャンティとこの時季しか無いサクランボを合わせる事でメインのクリームとメインのフルーツをより良く感じられるようになりました。

 

ここで、一皿の中でメインになる食材を立たせる為には、同系統の違うものを少しだけ合わせるという事は全ての料理に共通する仕組みだということです。

こういう基本がとても大事な知識になると思います。

 

色々な組み合わせの中でそんな風に料理を見てみると意外と簡単に見つかるものです。

 

自分たちが釣りに行く理由

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前回鯖を生で食べるのであれば養殖をお勧めしましたが、

では、なぜ釣りにわざわざ行くのかをお話しさせて頂きたいと思います。

天然の魚には、寄生虫の付いている可能性がある事は前回お話ししたように、リスクがあります。

せっかく釣れた魚であっても、寄生虫だらけの事も、、、、。

 

では養殖のお魚はというと、ほぼ寄生虫の可能性はありません。それから脂ののりは凄いです。

これがメリットなのですが、人工飼料を食べているため寄生虫を口にする事がないわけで、同時に

身の味も単調になります。太っていて、脂も凄い量ですが、その味もまた、単調です。

 

天然の魚は、食べ物が一つではありません。殆どの魚が多種多様な餌を生きる為に最低限の量を捕食します。ですから、脂がのりすぎる事は無いのです。

そして、唯一天然の魚でも普段より多く食べなければならない時期があります。

産卵期を迎える直前です。これから卵を大きくして行く時期というのが身に沢山の脂を蓄えます。

その時の魚を旬の魚と呼ぶわけですが、養殖の魚の脂とは比較にならないほどの複雑味を感じられます。その魚をきちんとした処理(締め方)をして持って帰ってきたものが最高の1皿になれるのだと思うのです。